5.新信託法で認められた新しい信託の活用例

新信託法の施行により多様な信託の活用が期待されます。
ここでは、新信託法で活用が期待されるいくつかの例を紹介します。

事業の信託

これまでは、信託の対象である財産は、金銭的価値に見積もることができるものとされ、いわゆる債務のような消極財産は含まれませんでした。

しかし、新信託法では、委託者と受託者との合意に基づいて委託者の債務を受託者が引き受けることができることとなりました。これにより、一つの事業体の積極財産(資産)と消極財産(負債)を同時に信託することにより事業を信託したのと同様の状態を作り出すことが可能となることから、いわゆる事業信託が可能となりました。

セキュリティトラスト(担保権の信託)

新信託法では、担保権を信託財産の対象とし、委託者を被担保債権の債務者、受託者を担保権者、受益者を被担保債権の債権者とする信託が有効であることを認めました。具体的には、信託会社など債権者以外の者が債権者のために担保権者となることが想定されます。

最大の利点は、債権者でない第三者の一人が担保権受託者として担保権を保有・管理するため、貸付債権が譲渡されても担保権は引き続き担保権受託者のもとに留まり、貸付債権が譲渡される度に担保権移転の対抗要件を具備するなどの手間が省けることです。その結果、安心かつ簡便な債権譲渡が可能となり、貸付債権の流通が促進されることとなります。

セキュリティトラスト(担保権の信託)

知的財産の信託

新信託法では、信託会社が特許権や著作権などの知的財産権を受託することができるようになりました。

知的財産権の信託には、権利侵害からの保護や、効率的な管理および資金調達のための手段として用いられるものがあります。具体的には、企業が保有する特許権の一括管理を目的とした特許権の信託や、映画の著作権を信託財産として資金調達を行う信託があります。