8.流動化・証券化とSPVとしての信託

流動化・証券化のスキームでは、信託がオリジネーター(元資産保有者)と投資家(受益者)を結びつける役割を果たします。

流動化・証券化とSPVとしての信託

流動化・証券化において、オリジネーターが資産を譲渡する主体をSPV(Special Purpose Vehicle)といいます。SPVは、オリジネーターの倒産から隔離された会社や信託などがその主体となります。さらに、当該譲渡された資産は、SPVの破産手続きからも独立している必要があります。近時、特に金銭債権の流動化・証券化においては、信託をSPVとして活用するスキームが一般的になっています。

SPVとしての法的安全性

信託をSPVとする場合では、信託財産の独立性(注)から受託者が倒産した場合にも譲渡対象資産が受託者の破産手続きに属さないため、受託者の固有の債権者の引き当ての対象になりません。

  • 信託財産の独立性とは
    信託の対象となった財産は、形式的には受託者に帰属しますが、受託者の固有財産および他の信託財産とは区分して扱われます。

受託者責任

信託法や信託業法で受託者に課せられた義務が他のスキーム参加者(資金調達者としての委託者、資金運用者としての受益者)の利益の保護に非常に重要な意味を持っているといえます。
受託者責任には主として以下のようなものがあります。

忠実義務

受託者は当該信託の受益者の利益のために行動しなければならないという義務

善管注意義務

受託者は、善良な管理者の注意をもって信託業務を遂行する義務

分別管理義務

信託財産と受託者の固有財産および他の信託財産を分別して管理しなければならない義務

信託事務遂行義務

信託の本旨に従い、信託事務を処理しなければならないという義務

公平義務

受益者が2人以上いる信託においては、受託者はすべての受益者のために公平にその職務を行わなければならないという義務

情報提供義務

信託事務処理の状況について受益者に報告し、受益者の信託に関する計算書類や帳簿の閲覧の要求に応じなければならないという義務